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議会報告

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平成27年9月

平成27年9月定例会 一般質問(要旨)

1.世界文化遺産登録後の取り組みについて

質 問1

登録決定後の観光客については増加していると思うがその状況は?

回 答

世界文化遺産登録になった各資産の平成27年7月と8月の2ヵ月の集客状況は、端島、グラバー園、旧木型場の3施設合計は25万2,125人で昨年と比べ約1.5倍の増となっている。世界文化遺産の登録に伴い、見学の方法を変更した旧木型場(三菱資料館)の来場者数は、期間中で6,216人、昨年同期は3,007人で約2.1倍の増加となっている。
また、その他の資産のうち、小菅修船場跡、高島の北渓井抗跡は増加しているが、多くの方が来訪している状況にはない。今後も、現在の観光客の増加を捉え、一過性に終わらすことなく継続して観光客が訪れるよう努める。

意 見

世界遺産のある国内各都市の観光客の動向は
①登録を契機に観光客が増加する
②登録年度及び初年度に一時的な増加がみられる
③登録前からの減少に歯止めがかからないケース
の3パターンに分類されると聞いている。
今回の遺産登録は、文化や歴史的背景が共通する複数の遺産を一括して登録する「シリアル・ノミネーション」方式で決定され、登録の狙いである「産業革命遺産」のストーリーが分かりづらい。順調に観光客が伸びるためには、観光受入の具体的取り組みと併せて、構成遺産をどの様に結びつけて見せるのか?モニターツアーや観光客の声にしっかり対応してほしい。

先ずは、県民・市民の皆様から世界遺産の歴史や意義を理解してもらう啓蒙活動や、構成資産の施設に来場して頂く取り組み、地域住民から見る穴場スポット(掘り起こし)の情報を得て、口コミで浸透させる仕組みづくりも必要である。

質 問2

JRのデスティネーションキャンペーンや旅行会社による商品造成をはじめ、産学官民との協働事業の取り組み状況は?

回 答

JRグループ6社と県内全ての自治体、地元の観光事業者等が実施するディスティネーションキャンペーンは、平成28年10月から12月までの期間、長崎県では初めて単独開催が決定しており、産学官民と連携し全国への情報発信、誘客に取り組む。また、地元長崎大学と長崎市が協働して、軍艦島の記録保存を行うため、3Dによるコンピュータグラフィックの映像をインターネット上で公開している。
受け入れ態勢の取り組みは、長崎へ来訪する自動車の円滑な誘導のため、構成資産周辺への道路標識の設置を行っている。そのほか、世界遺産の価値や歴史背景の情報発信、他エリアへの周遊を促す、スマートフォンアプリの開発を行う。
地元の交通事業者では、陸から軍艦島を望むことが出来るバスツアーや、船上から産業革命遺産を眺めることが出来るクルージングツアーの造成などの取り組みを行っている。世界遺産を契機として、地元金融機関の定期預金キャンペーン、ビール会社の寄付金付き世界遺産応援デザイン缶ビールの発売など、世界遺産保存支援や情報発信の取り組みが活発化している。

意 見

JR九州は、タレントのDAIGOさんを起用して、各エリアを対決式で紹介する集中送客キャンペーン「どっちがウィシュ?長崎VS熊本」を10月1日から来年3月31日まで対決エリアの魅力を、キャーンペーンサイトで紹介し、どちらかを選んで投票してもらう取り組みが行われる。
2006年度の対決は、両県とも引き分けで今回2回目の対決となり、両県への旅行喚起のきっかけとして勝ってほしいものです。行政として出来る支援をお願いする。

JRとの協働事業を契機に、次は、長崎県と連携した航空会社との協働事業にも取り組んでもらいたい。国土交通省は2016年度から、国に支払う着陸料を引き下げる方針を示している。
このチャンスを活かして、長崎県と連携した国際チャーター便の誘致活動、クルーズ客船誘致の取り組み、旅行会社とタイアップした魅力的なコース設定による商品開発、交通アクセスの整備等、県と市が十分に連携の取れた協働事業の推進を図り、長崎での観光消費アップ(外貨獲得)に繋げてもらいたい。

また、自動車で長崎へ来訪する際、円滑な誘導板や案内標識も大事であるが、料金所周辺に「どでかいインパクトのある広告塔(案内板)」を設置して、長崎のPRを図る必要がある。

提 言

長崎県民・市民の理解・機運醸成及び魅力発信のために、地元長崎大学が端島の記録保存の3Dによる3次元のコンピュタ―グラフィックの映像を県民・市民に知らせる。
端島炭鉱(軍艦島)の新たなプロモーション映像(4K映像完成、約1800万円支出)を長崎市の地元からその資産価値を伝える取り組みが大切である。
関係団体や諸団体への貸し出し、学校教育現場、屋外・室内のあらゆるイベント等で有効活用を図り、構成資産をアピールする器材として活用すべき。

質 問3

大規模改修が予定されている旧グラバー住宅について、世界遺産の構成資産及びグラバー園の主要施設として、改修中の来訪者への見せ方は?

回 答

旧グラバー住宅は、昭和41年から43年に大規模な保存修理を行って以来、約50年が経過しており外壁や建具などの経年劣化が著しく、破損箇所が随所に見られる状態となっている。
また、耐震対策等も未整備であり、平成27年度から耐震診断に着手し、平成28年度までに耐震補強方針の策定などを完了予定で、平成29年度より大規模な保存修理に取り掛かる。来訪者への見せ方は、現在、他都市における重要文化財建造物の修理中の公開方法等について調査を進めている。また、庁内の関係課による公開方法について協議を開始した。安全面を配慮しつつ、現場内に見学エリアを整備し、通常では見学できない修理中の様子を見学してもらうなど、価値の理解促進や魅力が高まるような見せ方を検討する。

提 言

グラバー園・軍艦島に比べ、高島炭鉱(北渓井抗跡)は世界遺産登録されたとはいえ、観光で訪れる人も少なく、日本最初の蒸気機関による竪坑の価値も分かりにくい。
訪れた人に「何のインパクトもなく」、景観上も整備されているとは言い難く、形だけの案内板はあるが、観光面からではなく学術的な見せ方を工夫する必要がある。また、「小菅修船場跡」は、公開されているが駐車場が無いので、見学する際は注意喚起が必要である。

稼働資産は公開されていないので、グラバー園や港内の海上から登録遺産として価値観が分かる見せ方を検討願う。

意 見
要 望

次世代に「顕著で普遍的価値」をどの様にして守り・繋いで行くのか、財源が乏しい長崎市にとっては財源確保が急務である。
特に、端島(軍艦島)の保全に多額の費用(約26億円から158億円)が想定されているため、国の財政支援・県の財政支援は特に必要とすべきもの。 今議会において「端島(軍艦島)整備基金」の設置、「ふるさと納税」の使途に軍艦島応援寄付金も7月より新設され一定評価できる。
それに加えて、地元金融機関の定期預金キャンペーン、ビール会社の寄付金付き世界遺産応援デザイン缶ビールの発売など、地元飲食店や観光事業者関連の企業についいても世界遺産支援の輪が広がっている。

「ふるさと納税」の寄付金は、主に個人が中心であり企業からの寄付金はごくわずかと聞いている。 国においては、来年度実施を目指し「企業版ふるさと納税」の制度案が検討されている。

この機を逃すことなく、いろんな場面において地元企業や関連業界等に世界遺産の支援(寄付金)及び愛の軍艦島募金の働きかけをお願いする。

2.マイナンバー制度について

質 問1

マイナンバー制度導入における業務・システムの改修、特定個人情報保護評価、個人番号のカード通知、マイナンバーを利用する事務作業、特定個人情報の取り扱いや市民への周知状況について、併せて、マイナンバー法改正に伴う市民への影響は?

回 答

マイナンバー制度は、国民の利便性の向上、行政の効率化、公平・公正な社会の実現を目的としている。国民一人ひとりに12桁の番号が付与され、社会保障、税、災害対策の分野で利用され、国や地方公共団体の行政機関が、特定の個人を共通の番号で把握し、情報の連携を行うことで、国民の行政手続きが簡易になるとともに、行政機関では事務の効率化が図られる。
現在の準備状況は、住民記録、税情報の各システムの改修を行うとともに、各システムについては、法令の定めにより実施が義務付けられている特定個人情報保護評価を行い、市民へのパブリッックコメントを経て、長崎市個人情報保護審議会による点検を実施した。
また、マイナンバーが付された個人情報を安全かつ適正に取り扱う必要があるため、特定個人情報保護条例を定めた。制度の周知は、国においてテレビCMや新聞への折込チラシ等により周知されているが、長崎市でもホームページの掲載や広報ながさきにより市民への周知を図っている。

意 見
要 望

個人通知カードは、全国で約5,500万世帯に「簡易書留」で送られ、275万世帯が「受取人不在」などの理由で届かない可能性があると試算している。

長崎市では、674世帯〈1,190人〉に対して確認のための文書が郵送されているが、割り振られた通知カードが手元に届いていなければ、来年1月以降、介護保険などの給付申請手続きの際に番号の記入を求められるため、手続きが遅れる可能性がある。
一人でも多くの方に、居所(きよしょ)情報登録申請ができるよう、担当部署のみの調査でなく、情報の共有を図り関係部署と十分連携をとって対応願う。また、個人番号カードの交付にあたっては、制度の趣旨が十分伝わるように、そして理解していただく事が重要である。

来年1月からは、番号利用の開始と合わせ、個人番号カード交付開始となり、国は1月から3月末まで1,000万枚の交付を想定し、長崎市は人口の7%(約3万枚)を想定枚数としている。

現在、長崎市の住民基本台帳カード等交付状況は、約4万2,000枚が交付されており、個人番号カードの配布及び切り替え手続き、通知カードの返戻対応など、一時的に業務量が増大することが懸念される。よって、職員の応援加勢を含めた人的対応、市民サービスの低下とならないよう、マイナンバー制度の推進を図ってほしい。

質 問2

マイナンバー制度導入に対する個人情報管理とセキュリティ―対策は?

回 答

マイナンバー制度の導入により、平成29年7月から国の機関や他の自治体との情報連携が開始される。
この情報連携は、マイナンバー法で定められた事務に限り、ネットワーク回線を通じて、情報の照会、提供を行うことが出来る仕組みとして、国が「情報提供ネットワークシステム」を設置するもので、個人情報はこれまでどおり各団体で管理され、特定の機関に情報を集中管理するものではなく、分散管理するもの。
また、情報提供ネットワークシステムが利用するネットワークは、地方公共団体のネットワークを相互に接続し、高度なセキュリティーを維持した行政専用のネットワークで、一般的なインターネットにはつながっていない、独立したネットワークとなっている。このネットワーク接続は、国が配布する専用の暗号化通信装置を設置し、暗号化通信を行うとともに、ネットワーク通信を監視し不正な通信を防御する機器を設置する等、複数のセキュリティー対策を講じていく。
平成29年1月から「マイナポタール」と呼ばれる仕組みを導入し、自分の個人情報が、いつ、どの行政機関で利用されたかを、パソコン等から確認出来るようになり、本人による利用のチェックが出来るようになる。

3.(仮称)上下水道事業マスタープラン2015について

質 問1

合併地区の水道施設を一元化する、水道施設統合整備事業が進められ、浄水場の施設数を平成26年度の38箇所から、平成31年度までに7箇所に統廃合することになっているが、進捗状況はどの様になっているのか?また、統廃合により機能停止した浄水場の跡地等の活用計画は?

回 答

水道施設統合整備事業は、合併した旧7町地区の水道施設が、小規模で広範囲に点在しており老朽化が進んでいる施設も多いことから、安定した水の供給や施設管理の効率化を図るため、旧長崎市の水道施設から送水管を延伸し、合併地区の水道施設へ送水することで一元化を図ろうとするもの。
進捗状況は、平成26年度末で事業費ベースでは進捗率66.5%、これまで9箇所の浄水場を廃止し38箇所となっている。統廃合後の浄水場の活用計画は、貴重な資産であるので有効に活用していく必要がある。一部の浄水場は、地元からの要望等も上がっており、引き続き配水池として活用する箇所や、山間部に位置する等、立地条件が悪い箇所も多いことから、売却等の可能性も含め今後の活用について整理する。また、廃止する水源等は、主に河川の表流水や地下水等で、地元等の活用の要望があれば、河川管理者とも協議を行い廃止後の活用を検討する。

質 問2

アセット(資産)マネジメント(管理・運用)により、中長期的な視点から更新費用を平準化することなど、経営基盤の強化と健全化を進めることを揚げているが、その取り組み状況は?

回 答

上下水道施設は、整備後40~50年経過し老朽化に伴う更新の時期を迎え、今後は、人口減少などで料金収入の伸びは期待できず、限られた財源の中で効率的に更新事業を実施しなければならない。
平成25年度にプロジェクトチームを結成、これまで先進都市の実情把握や厚生労働省が作成した「簡易支援ツール」による限定的な試算を行って、導入効果のイメージを修復するなど、局内でアセットマネジメントの理解を共有し、導入・運用する上での課題や問題点について認識を深めた。適切な運用を行うため、膨大な資産や施設管理に関する情報をITの活用による支援システムを構築することが不可欠で、平成27年度から2年間で基本的な機能や仕様を取りまとめる。
その後、平成32年度を目標に支援システムを構築し、適切な更新時期の設定や更新需要の平準化、財政の収支見通しなどを踏まえ、適格な維持管理と経営の安定化を図る。

4.国道202号の整備促進並びに(仮称)福田バイパスの早期事業化について

質 問1

福田地区における国道202号の現道対策(通行危険箇所の改良並びに歩道整備等の整備)の進捗状況は?また、国道202号の交通環境の抜本的対策となる(仮称)福田バイパスの早期事業化への取り組は?

回 答

国道202号(大浜町から福田本町間)の現道対策は、大浜町の大迫バス停付近や、フレスポ福田ウエスト前や小浦町から福田本町に至るカーブ付近などが改良され、さらに、平成26年度には大浜町の大迫バス停と大浜バス停間の曲線間が完成している。
現在、小浦舟津公園前交差点から福田郵便局前交差点間の約770mの区間において、歩道整備が進められており、今年度は建物調査、用地取得及び改良工事が予定されている。今後も、早期整備に向けて長崎県へ強く働きかけていく。 (仮称)福田バイパスは、地元の皆様で構成される「福田バイパス建設促進期成会」の平成26年度総会に、長崎県議会議長並びに副議長が出席され、現地視察を行うとともに、地元から早期事業化に向けた要望が出された。
また、長崎市においても、長崎市をはじめ市議会や交通関係者、地元関係者で構成する「一般国道202号(福田バイパス)道路整備促進協議会」により、長崎県や県議会、国や県選出国会議員へ「早期事業化と道路予算の確保」について要望を行なっている。県の見解は、整備に多額の費用が必要であるとともに、バイパスの利用交通量も少ないという問題もあり長期的課題であるとのこと。長崎市としては、こうした問題を少しでも解決出来るよう、地元の皆様と協力しながら今後とも引き続き、県や国などの関係機関に対し整備促進の働きかけを行う。

意 見
要 望

福田バイパス建設促進期成会は、福田地区の自治会連合会など11の構成団体で平成17年8月に期成会を立ち上げ、今日まで長崎県や長崎市に対して陳情活動・要請活動を行いながら10年が経過した。

福田地区は、工事車両を含めた大型車両も増大し、歩道幅の狭い区間における子ども達の通学や通勤、日常の買い物など危険要因が増している。交通事故発生件数は、大浜トンネル入り口から福田郵便局前交差点の間、平成23年46件、平成24年31件、平成25年60件、平成26年63件、平成27年8月現在36件の事故が発生し、危険地域となっている。
よって、今後とも長崎県・国などに対して、国道202号の整備促進並びに交通環境改善の抜本的対策となる(仮称)福田バイパスの早期事業化の道路予算の確保、調査費の計上に向けた、継続した要望活動をお願いする。

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