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平成25年12月18日

平成25年第4回定例会(11月市議会) 一般質問(要旨)

1.世界遺産登録への取り組みについて

質 問

「明治日本の産業革命遺産」推薦決定からの取り組みは?

回 答

「産業革命遺産」の世界遺産登録は、来年2月1日までに推薦書の正式版をユネスコへ提出後、夏の国際記念物遺跡会議(イコモス)による現地視察を経て、平成27年のユネスコ世界遺産委員会において登録の可否が決定される。

現在、端島炭鉱等調査検討委員会での議論を踏まえ、端島の「護岸」「生産施設」「居住施設」のエリアに属する遺構について、歴史的価値、産業施設としての景観、現時点での劣化状況などを勘案したうえで、保存整備の優先順位をつける作業を行い、関係機関と協議のうえ来年1月末までに、史跡指定の意見具申を文化庁へ行う事にしている。
また、推薦書や付属書類についても、構成資産の価値の表現をより良いものに改めるなど、内容の熟度を上げて行く作業を、国や協議会事務局などと連携していく。

来年夏のイコモス調査までに保存管理の基本方針、保存管理上の課題と対策、維持管理の方法、現状変更の取扱い方針及び基準などを定める事にしている。高島炭鉱周辺の環境を守るための緩衝地帯としての景観形成重点地区の指定、4つの稼働資産及び小菅修船場跡の史跡範囲外にある石垣や階段など歴史的構造物を保護するため、景観重要建造物の指定についても所要の手続きを進めている。平成26年度から27年度にかけて、端島炭鉱・高島炭鉱の遺構について、事業費を含め具体的な整備活用計画を策定する。

質 問

「長崎の教会群」の見直し及び取り組みは?

回 答

「長崎の教会群」は、11月22日に関係する2県6市2町の首長で構成する「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」第7回世界遺産登録推進会議を開催し、平成28年度の世界遺産登録を目指す。

イコモス対策としての修景・景観整備及び登録後を見据えた来訪者受入対策に積極的に取り組む。資産の保存及び整備活用に関する体制づくりに早期に着手する。国に対する要望活動などを確認した。
また、長崎県下の約200の団体等で組織する「長崎の教会群とキリスト教関連資産」長崎県世界遺産登録推進県民会議においても、12月末に第3回の総会が予定されており、改めて機運の醸成と更なる向上を図る。

来訪者の受入体制は、長崎県において教会堂の秩序ある公開に向けた取り組みとして、教会堂の見学予約システムを用いた受入体制の構築と、来訪者等に対し教会群に関する情報を提供する「長崎の教会群インフォメーションセンター」の設置に向けた準備が進められている。

再質問

世界遺産登録に向けた機運の醸成は?

回 答

「産業革命遺産」は「教会群」に比べて遅れており、来年夏のイコモス調査に向け早急に機運の醸成を図る必要がある。

ユネスコへの推薦が決定された後の周知啓発は、関係自治体で構成する世界遺産登録推進協議会としてパンフレット、ポスター、のぼりなどの作成に取り組むとともに、シンポジウムの開催を予定している。
県内向けの周知は、長崎県主体で広報誌をはじめ看板、ポスター類の配布を予定している。市民向けの周知は、大きなイベント時にはパネル展示やパンフレットの配布を行い、今後ともあらゆる機会を通じて機運の醸成を図る。
全国的には、9月30日に産業遺産の継承を目的に一般財団法人産業遺産国民会議が設立された。国民会議は、シンポジウム、講演会、国際会議などの実施、広報・PR活動、調査・研究、登録推進活動、国民運動などを行ない、今後、イコモス調査の準備としての国際会議の開催、機運醸成のためのPRなどを実施することが確認された。

意 見
要 望

産業革命遺産の周知啓発は、「教会群」に比べて遅れており、全国・九州・県レベル、市民レベルといったあらゆる面での周知啓発が必要である。

そのためには、全国レベルのシンポジウム、九州レベル、長崎レベルでのアピール活動、周知・啓発、機運盛り上げが重要であり、そのような取り組みをするために、関係自治体や推進協議会等へ働きかけてもらいたい。
さる、10月30日長崎空港に世界遺産登録に向けた宣伝・アピール用のノボリが設置されていた。ノボリの文言は、長崎の教会群とキリスト教関連遺産を2015年(平成27年)に登録しよう!という内容のもので、9月17日に「産業革命遺産」が推薦決定されてから、1カ月を超えているなかで掲示されているのを見て、世界遺産登録へ向けた行政(県)の取り組む姿勢に疑念を覚えた。
世界遺産登録決定までの期間・時間が短いなかで、ノボリ程度は、即作成し取り替えて周知を図るべき。また、11月23日(土)・24日(日)に、「ながさき実り・恵みの感謝祭2013」が水辺の森公園と出島ワーフで開催された。

会場には、2日間で9万5千人が来場し、世界遺産推進室コーナーには「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」関連のパネルが掲示されていた。ビッグイベントのなかで、「産業革命遺産」のアピールをすべきとの声は、担当者から出なかったのか不思議でならない。準備が教会群より遅れているのに、世界遺産登録に向けた意気込みが感じられない。今後、県・市が関与するイベント等では、先ず「産業革命遺産」の周知・アピールを、そして持続した「長崎の教会群」の機運醸成を図るべきと思う。

2.文化財行政について

質 問

文化財の保存管理は?

回 答

長崎市の文化財の指定・登録件数は、平成25年8月31日現在、249件の国・県・市文化財と31件の登録文化財があります。

文化財の保存管理は、海外との交流の足跡や培われた独特の文化を示す様々な歴史・文化遺産が、生活や街並みの中に保存継承されており、特に貴重なものは保護に努めている。
なかでも文化財建造物は、通常の維持管理を継続し、経年による劣化等に対して定期的な保存修理は不可欠であり、適切な時期に保存管理していく必要がある。

市が所有する文化建造物は、緊急度の高いものから順次保存修理を実施し、修理後は一般への公開活用に努め、旧グラバー住宅等保存修理に向けての計画を行なっている。また、民間が所有する文化財建造物の保存修理・整備等は、技術的な面での指導・協力を行なうとともに工事費用等への補助を実施している。

再質問

平成26年度以降の保存管理や修理の計画は?

回 答

これまでの主な保存修理は、旧長崎税関下がり松派出所保存修理費が約4億7千万円、旧香港上海銀行長崎支店保存修理費が約8億円となっている。

今後、グラバー園内にある国指定重要文化財旧グラバー住宅、旧オルト住宅、旧リンガー住宅の3棟及び伝統的建造物6棟の保存活用計画を平成26年度にかけて策定している。この9棟は、平成27年度以降に耐震診断・設計を行い、全体の保存修理は平成34年度までを予定し、保存修理費は相当額の費用がかかる。

質 問

文化財の保存管理は?

回 答

長崎市の文化財の指定・登録件数は、平成25年8月31日現在、249件の国・県・市文化財と31件の登録文化財があります。

文化財の保存管理は、海外との交流の足跡や培われた独特の文化を示す様々な歴史・文化遺産が、生活や街並みの中に保存継承されており、特に貴重なものは保護に努めている。
なかでも文化財建造物は、通常の維持管理を継続し、経年による劣化等に対して定期的な保存修理は不可欠であり、適切な時期に保存管理していく必要がある。

市が所有する文化建造物は、緊急度の高いものから順次保存修理を実施し、修理後は一般への公開活用に努め、旧グラバー住宅等保存修理に向けての計画を行なっている。また、民間が所有する文化財建造物の保存修理・整備等は、技術的な面での指導・協力を行なうとともに工事費用等への補助を実施している。

指 摘

文化財の保存修理や整備が進められ、適切な保存活用が図られていることは評価をする。

しかしながら、重要文化財旧香港上海銀行長崎支店は総事業費約8億円、旧長崎税関下り(くだり)松派出所(べっ甲工芸館)は総事業費約4.7億円、グラバー園(旧グラバー住宅、リンガー住宅、オルト住宅など9棟)は相当額の費用がかかる。
現在整備中の旧長崎英国領事館保存整備の総事業費は30億円、世界遺産関連では軍艦島の整備費16億円程度と言われ、高島炭鉱も整備しなければならない。国指定史跡の小菅修船場跡の整備費、稼働中の産業革命遺産関連資産の整備費、長崎の教会群関連資産の整備費、旧城山国民学校校舎をはじめとする4件の「長崎原爆遺跡」、神ノ島地区の「四郎ヶ島台場跡」などまだ試算がされておらず、今後相当な整備費が懸念される。

ここ数年の文化財保護費は、年平均約1億5,000万円程度で推移しており、財政面における将来の保存修理は大丈夫なのか懸念される。民間が所有する文化財建造物への補助事業、長崎市が管理する文化財の整備含めて、関係先と十分連携を取り早期に把握されるとともに、文化財保護についてはあれもこれもではなく、過去の実績を踏まえて将来をどうするのか早急に検討する必要がある。

要 望

現在、長崎市歴史文化基本構想策定委員会において文化財の総合的な保存、活用方法について論議されているが、企画財政部からは誰もメンバーに入っていないので、財政面を含めたなかでの検討をお願いする。
文化財保存管理計画や保存修理計画は、策定されておらず早期に目途を決めて策定すること。文化財に関連する補助事業(道路整備・周辺環境整備など)の情報収集による国のメニューを活用しての財源の負担軽減を図ること。国・県に対しての特定建造物(特別なもの)に対する補助率の見直しなど協議をすることを要望する。

質 問

重要文化財耐震診断指針への対応は?

回 答

平成24年6月に文化庁より重要文化財(建造物)耐震診断指針が改正されたことに伴い、新たに登録有形文化財(建造物)及び伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物にも耐震対策の推進が示された。

現在、長崎市内には、国宝・重要文化財の建造物が23件、伝統的建造物群保存地区内の国宝・重要文化財以外の伝統的建造物が43件、登録有形文化財建造物が23件、そのうち耐震対策が行なわれているのは、重要文化財旧出津救助院授産場と伝統的建造物東山手甲13番館の2件のみです。

今後、文化財保護行政を進めるためのマスタープランを「歴史文化基本構想」の中で、基本的な方針等を定め、それぞれの物件ごとに建物の劣化の度合いや利用形態などを考慮しながら、必要に応じた形で計画的に耐震対策を進めて行く。また、民間が所有する文化財建造物の耐震対策も、所有者と調整を図りながら推進し、適切な保存継承と安全確保に取り組んでいく。

再質問

財源を含めてどのように耐震対策を進めるのか?

回 答

耐震対策が行なわれていない文化財建造物は、国指定・登録のものだけでも長崎市所有が33棟・民間所有54棟あり、今後、計画的に進めて行く必要がある。

貴重な歴史的遺産を後世に継承していくためにも、国や県の補助など財源を確保して取り組む。今後、文化財保護行政を進めるためのマスタープランを「歴史文化基本構想」の中で、基本的な方針等を定め、それぞれの物件ごとに建物の劣化の度合いや利用形態などを考慮しながら、必要に応じた形で計画的に耐震対策を進めて行く。
また、民間が所有する文化財建造物の耐震対策も、所有者と調整を図りながら推進し、適切な保存継承と安全確保に取り組んでいる。

要 望

耐震対策が行なわれていない文化財建造物は、国指定・登録のものだけでも市所有・民間合わせて87棟もあり、長崎市内には、他にも多くの文化財建造物がある。

経年劣化に伴い一定周期での保存修理が必要な文化財建造物もあるなかで、文化財建造物の中には材料や工法が特殊なものや規模の大きいもの、保存修理に対して高度な技術等が求められる物件もあり、整備費も通常より高くなると思われる。
従って、長崎市歴史文化基本構想策定委員会での論議を踏まえ、財源を含めての耐震計画を早急に策定して頂きたい。

3.介護予防について

質 問

介護保険制度の見直しに伴う今後の方向性は?

回 答

高齢者の増加により、要支援・要介護認定数は、制度当初と比べ約2.5倍となり、これに伴い介護保険料は約1.9倍、介護給付費は約2.6倍と増加している。

国においては、介護保険制度の見直しにより、超高齢化の進展、家族形態や地域社会の変化に対応するため、制度の給付と負担のバランスを保ち、持続可能な制度となるようサービスの自己負担割合や介護予防給付の見直し、地域支援事業の充実等の検討がされている。
見直しのなかで、要支援認定者の訪問介護、通所介護サービスが介護予防給付から地域支援事業へ移行されることにより、「引き続きサービスが利用できるのか」「サービスの質は確保されるのか」「サービス単価や人員体制はどうなるのか」など、利用者や事業者側の課題、ケアマネジメントする地域包括支援センターの業務量の増加に伴う調整などの課題について解決する必要がある。

長崎市としては、これらの課題を検証し、国の指針を参考にするなど動向を注視ながら、柔軟に対応できるよう準備が必要であると認識している。

質 問

高齢者ふれあいサロンの取り組みは?

回 答

高齢者ふれあいサロンは、現在、市内25箇所に開設しており参加者の実人員は975人、サポーターの登録者は253人となっている。

企画・運営は、高齢者サロンサポーター養成講座を終了した高齢者が、今まで培ってきた経験と知識を活かしながら自主的に行い、元気な高齢者も介護予防の担い手として活躍している。サロンは、「支える側」と「支えられる側」がそれぞれの立場で楽しみながら参加し、交流が出来る事が特徴であり、このサロンをきっかけに、地域の絆が深まり、一人暮らし高齢者の見守りや声かけなどの地域活動へも発展している。

今後もサロンは、介護予防の重要な施策として認識しており、自治会や民生委員、老人クラブ、社会福祉協議会など地域の方々と協働し、全小学校区に1箇所以上の開設を目指して取り組む。

4.産業振興と雇用創出について

質 問

ながさき海洋・環境産業拠点特区及び実践型地域雇用創造事業の取り組みは?

回 答 「ながさき海洋・環境産業拠点特区」の指定により、長崎地域に限定した形での規制緩和や税制・金融上の支援措置などを検討するための「国と関係自治体との協議」が年2回、5年間にわたり特別に行われる。

規制緩和等の進捗状況は、客船建造用の輸入貨物に係る関税の取り扱いを対象とした「保税地域における倉置期間の延長」などの項目について、関係省庁との協議が整い、改めて計画書の中に盛り込み、現在、国へ申請している。併せて、今年度から3年間、総事業費約22億3千万円のうち国が8割を負担、残り2割を地元の企業や県市で負担して、造船技術者等の人材育成を図るための「ながさき海洋・環境産業雇用創造プロジェクト」に着手している。これまで参加企業の募集や求人活動が順次行われ、計画されている全22事業のうち、今年度に実施する予定の19事業について計画通り進捗が図られている。

「実践型地域雇用創造事業」の取り組みは、長崎市が事務局となり長与街並びに時津町と共同提案し、国の全額負担による委託事業として、3年間、約2億3千万円が採択されました。7月に国と委託契約を締結して事業を開始し、求職者や事業者向けセミナーの企画運営を行う事業推進員、長崎の食を活かした新商品や旅行商品の開発を行う実践支援員を採用し、事業の企画立案に着手した。今年度のセミナー等の事業は、11月に合同企業面談会を開催するとともにその直前対策セミナーも実施した。今後は、「長崎観光おもてなしセミナー」などの求職者向けセミナーを11回、「販売戦略・販路開拓セミナー」などの事業者向けセミナーを4回、合同企業面談会を1回、実施する予定であり、今年度の雇用創出目標である140人を達成するようセミナーを開催する。

要 望

「ながさき海洋・環境産業拠点特区」は、長崎地域ワーキンググループにおける高付加価値船などの建造促進の環境整備、海洋エネルギーの実用化、海洋・環境産業の拠点形成を支える物流システムの構築等、関係先と十分連携をとって、来年(3月)早々に国へ提案できるよう取りまとめること。

「ながさき海洋・環境産業雇用創造プロジェクト」における人材育成や雇用の確保は、産業の振興と雇用創出に大きな期待が持てるものであり、関係団体と事前準備を十分に行ってスピード感をもって取り組みを進めて頂きたい。
また、「実践型地域雇用創造事業」は、若年層の県外流出に歯止めをかけるためにも、求職者の雇用創出を図る有効な事業である。

1月に予定されている6回のセミナー開催は、具体的内容・開催日時など検討中であるが、早急に内容を詰めてセミナー募集の周知を図り、就職できる体制を早急に構築してもらいたい。

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