議会報告

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平成24年2月29日

2月議会 一般質問(要旨)

1.サミットとの連帯による地場産業の振興

(1)客船連続建造に向けての環境整備

質 問

長崎県は、造船関連技能・技術者育成事業、モノづくり経営基盤強化支援事業を新年度予算に計上しているが、長崎市はどのような体制で支援を検討しているのか?

回 答

長崎の基幹産業である造船業は、厳しい国際競争力にさらされており、勝ち残っていくために地域を挙げた取り組みにより、造船業の展開に適した環境を整える必要がある。長崎市においても、客船等の建造体制の構築支援のため連携体制を整え、長崎県と協議を行ない地場企業の競争力強化と受注拡大を進める支援策として、「ものづくり技術習得奨励制度(400万円)」を予算案に盛り込んだ。

県が産業人材の育成のための訓練講座の提供、市が企業の技術力・競争力強化のための人材支援と役割分担を行ない効果的な取り組みを考えている。また、長崎県は、造船関連技能・育成事業(4,423万円)、モノづくり経営基盤強化支援事業(2,829万円)を新年度予算に計上している。長崎の経済の活性化には、基幹産業である造船業とそのすそ野を支える地場製造業の活性化が重要であり、関係機関・団体とも緊密な連携を図りその支援に力を入れて行く。

要 望

前回の客船建造時を踏まえ造船業界から聞き取り調査を行ない、配管艤装職・特殊溶接職(ステンレス溶接)など不足を生じるとの事で研修計画が立てられていると思いますが、ステンレス溶接は経験工でも非常に難しく、短期間の研修で仕事ができるものではないので十分な検討が必要である。

行政の支援は、中小企業の受注拡大、地場企業の雇用確保や地域経済の活性化に寄与できると期待しているところであり、研修の規模、期間、対象者などは長崎県・長崎市・産業界、産学官連携のなかで十分協議を行ない、弾力的、継続的な技能・技術者の研修や教育が出来るよう対応してもらいたい。

(2)水産練り製品の販路拡大

質 問

「長崎かんぼこ王国」が設立され「長崎おでん」の周知活動等、各種取り組みが行なわれているが水産練り製品の販路拡大は?

回 答

かまぼこ類の水産練り製品は、全国有数の消費があるものの、全国的知名度が低く域外での消費が少ない現状である。そのため、平成23年5月に長崎市も参画して「長崎かんぼこ王国推進委員会」を設立、産学官連携により水産練り製品をブランド化し、「水産業」を経済活性化の効果が大きい分野の一つに掲げ、「販路拡大」「新商品開発」「食文化の提供・継承」等の取り組みを行なっている。

「販路拡大」は、平成19年度推計60億円の市内生産額を平成27年度までに100億円に増加させる目標を設定、展示会や商談会等に参加し、本年2月1日から3日間、スーパーマーケットトレードショーにおいて100件を超える商談が実現し新たな顧客の確保に努めている。

今後、小規模事業者を含めた製造事業者の参加、飲食店。ホテルをはじめ多様な業種・業態において長崎かまぼこの提供を促す。「新商品開発」は、現在のライフスタイルや消費スタイルに合わせた商品開発、長崎おでんに続く新商品、新メニューの開発に取り組む。「食文化の提供・継承」は、学校給食での提供やオリジナルキャラクターの設定・活用など若年層の魚離れに対応している。今後、長崎かんぼこブランドの確立により、生産額を増やし“外貨”獲得の支援を行なう。

要 望

販路拡大については、かんぼこで商売をしている製造業者(87事業所)への正会員加入の働き掛け、賛助会員の拡大で体制を強化して、かんぼこの提供機会を増やすことで、長崎かんぼこの知名アップを図ってほしい。

長崎のかんぼこは、「海に囲まれ魚種が多く以西底曳漁業の関係であじ・いわし等の練り製品から食卓文化として発展して来た」、何の料理にも利用できる利点があり、練り製品を普及するためには、先ず食べて頂く事、長崎全体で盛り上げていく事が必要である。

日本一の蒲鉾消費量を誇る水産県長崎の地域活性化の新ブランドとして、県内外のイベントなどで「長崎おでん」「練り製品」を積極的にPRしてもらいたい。

2.世界遺産登録への取り組み

(1)長崎の教会群とキリスト教関連遺産

質 問

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の検討状況は?

回 答

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、世界遺産暫定一覧表に記載された後、資産を守る「万全な保護措置」としての構成資産候補の国の文化財指定や「顕著で普遍的価値」の証明のため調査研究、推薦書本文の各項目の記述内容、構成資産等について検討を重ねている。

しかしながら、国の文化財指定が困難と判断される4資産(26聖人殉教地、堂崎教会、青砂ヶ浦教会、大曾教会)が候補から除かれ整理・統合が行なわれた結果、14資産での世界遺産登録を目指すことになった。

今後は、本年度中に長崎県世界遺産学術会議で最終的な構成資産等の取りまとめが行なわれた後、平成26年登録を目指し、平成24年度に推薦書原案を国に提出予定である。

要 望

世界遺産登録には、世界遺産にふさわしい「顕著で普遍的な価値」の証明が義務付けられ、周辺景観も含めた保全状況が厳しくチェックされている。また、ユネスコ世界遺産委員会の審査状況は、途上国の遺産が専門家の低い評価を受けながら本審査で「逆転登録」されている。

2009年登録の13件のうち逆転登録は2件だったが、2010年は21件に対し11件、2011年は25件中13件が逆転登録された。遺産の保全状況を厳しく審査する傾向にあるなかで、本年7月の文化審議会に国内候補として諮問されるには、本年度中に国の指定・選定のめどをつける必要があるが、日程的に本当に大丈夫なのか懸念している。

長崎県世界遺産登録推進会議、長崎県世界遺産学術会議、文化庁等の関係先と十分連携とって国で推薦されるよう登録に向けて頑張ってほしい。

(2)九州・山口の近代化産業遺産群

質 問

「九州・山口の近代化産業遺産群」の検討状況は?

回 答

「九州・山口の近代化産業遺産群」は、平成21年1月世界遺産暫定一覧表に記載され、製鉄・造船・石炭鉱業といった重工業が幕末の西洋技術の導入以来、極めて短期間のうちに飛躍的に発展を遂げたという過程を証明する遺産群として、世界遺産登録推進協議会で登録に必要な作業が進められている。

産業遺産群は、それぞれの異なる価値を証明する9つのエリアに分け8県12市に所在する30の資産を抽出し推薦書の原案を作成している。
長崎エリアの構成資産候補は、小菅修船場跡、端島炭鉱、高島炭鉱、旧グラバー住宅、三菱造船所関連施設4資産(向島第3ドック、木型工場(資料館)、ハンマーヘッド型起重機、占勝閣)はいずれも世界遺産登録に必要な資産であるとの評価を得ている。今後は、その価値を守るための保全方策の検討が行なわれる。

政府案によると、三菱造船所を含む稼働中の工場などは文化財保護法による文化財指定ではなく、景観法や港湾法による規制や自治体の条例、企業側の協定等、建物・設備の改修や移動を縛らないルールで遺産保全を図る方針が示され、平成27年登録を目指し、平成25年度に推薦書原案を国に提出予定である。

要 望

政府は、1月30日稼働中の工場を含む「産業遺産」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に推薦する際、国が文化財に指定していない場合でも推薦できるよう条件を緩和する方針を示している。政府案によると、稼働中の工場などは文化財保護法による文化財指定ではなく、景観法や港湾法による規制や自治体の条例、企業側との協定など、建物・設備の改修や移動を厳しく縛らないルールで遺産保全を図る必要がある。

長崎市は景観法に基づく景観計画を策定し、景観重要建築物の指定に関する方針等示さなければならない。長崎県は港湾法に基づく港湾計画において条例での規制、行為規制等必要となるので、関係省庁及び地方公共団体、関係先等と十分連携をとって早めの対応を要望する。

3.環境行政

(1)長崎市地球温暖化対策実行計画の推進

質 問

太陽光発電設備の普及状況・今後の方策は?

回 答

平成21年8月から住宅や事業所を対象に補助制度を設け導入を図っている。長崎市内の太陽光発電設備の設置数は、平成21年度末約2400基から平成24年1月末には約3900基と推移している。東日本大震災以降、全国的に再生可能エネルギーへの転換が求められているなか、平成24年度は700基を補助対象とし、うち300基分を住宅用高効率給湯器との複合的補助としている。

今後の方策は、2030年度までに戸建て住宅等に太陽光発電設備を35%設置させることを目標としており、その達成に向け「長崎市地球温暖化対策実行計画協議会」のエネルギー部会で鋭意検討を進めている。

質 問

県下一斉ノーマイカー運動の推進は?

回 答

長崎市も、その趣旨に賛同し平成20年7月の第1回目から平成23年12月の6回目まで積極的に参加している。
市民、事業者の方への周知、広報については、広報ながさきや市ホームページへの掲載、長崎県地球温暖化対策協議会、長崎県地球温暖化防止活動推進センター、長崎県、長崎市の4者合同による繁華街におけるチラシの配布や街頭キャンペーンを実施するなど参加者の拡大を図っている。

今後とも、エコライフ・フェスタ等あらゆる機会を捉え、関係機関との連携を強化するなど推進を図る。

質 問

長崎市の電気自動車の普及とインフラ整備状況は?

回 答

長崎陸運局等の関係機関の公表資料によれば、県内で約200台、市内で約30台が所有されていると推計されている。長崎市は、平成23年3月に「長崎市役所次世代自動車等導入計画」を策定し、平成32年度までに平成22年度末の公用車総数733台のうちの10%にあたる72台を電気自動車等次世代自動車に更新する予定。

平成24年1月末現在、電気自動車5台、ハイブリッド自動車7台を保有し、今回電気自動車1台を導入する計画である。充電設備等は、平成24年1月末現在、自動車販売店や事業所に急速充電設備が3基、市役所別館やその他事業所等に普通充電設備が17基設置されている。

長崎市は、市内全域をカバーできるよう琴海行政センター、三重地区市民センター、東部地区にこにこセンター、三和行政センターの公共施設4か所に普通充電設備を設置、3月1日から一般に供用し、当分の間無料としている。

(2)新西工場建設の進捗状況

質 問

新西工場建設の進捗状況や今後のスケジュールは?

回 答

新西工場の建設に向けて3つの準備作業を行なっている。
1点目、環境影響の評価は、平成22年8月より調査方法等を示した「方法書」の作成に着手、11月に公告縦覧したが住民の皆様より悪臭や大気の測定頻度に関することなど環境保全の見地から9項目の意見が提出された。
その後、平成23年3月から平成24年2月末をもって現地調査を終了、平成23年11月には地元住民に対して環境影響評価の中間報告を行なった。

今後、調査結果に基づき、環境への影響分析やその評価を取りまとめた『準備書」を5月頃まで完成させ公告縦覧、県知事意見の聴取、住民説明会を行なう。平成25年3月に評価書の公告縦覧をもって環境影響強化の手続きは完了する。 2点目、事業方式は公共が資金を調達し、設計・建設、長期運営を併せて民間に委託するDBO方式を採用、処理方式は現西工場と同じストーカー炉方式とする。

今後は、DBO方式で必要となる「実施方針」や「要求水準書」の策定等を進めている。 3点目、地球環境整備等に係る地元との協議状況は、平成22年11月に地元理解を得るために類似施設である鹿児島市北部清掃工場を視察、併せて地元の要望である公民館や道路整備等必要に応じ協議を重ねる。出来る限り早期に環境保全協定や環境整備の覚書を結べるよう地元の皆様と十分話し合い、平成28年10月の新工場の稼働を目指す。

4.長崎市耐震改修促進計画

質 問

民間住宅の耐震診断及び耐震改修の取り組みは?

回 答

住宅の耐震化率を平成27年度までに90%を目標に、昭和56年以前に建築された木造戸建住宅を対象として、耐震診断の場合は利用者が5,000円の自己負担をすれば診断が受けられるよう4万円の補助を行なっている。

建物の耐震改修設計を行う場合は設計費の3分の2の範囲内で限度額7万円の補助、更に耐震改修工事を行う場合は工事費の2分の1の範囲内で限度額100万円の補助を実施している。これまでの実績は、平成24年1月末耐震診断が320件、耐震改修設計が162件、耐震改修工事が140件となっている。

住宅の耐震化率の推計は、平成22年度には76%と増加しているが平成27年度までの90%の目標は厳しい状況のため更なるPRに努める。

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